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東京地検特捜部は19日、自分の役員報酬を実際より50億円余り少なく有価証券報告書に記載したとして、日産自動車(本社・横浜市)会長のカルロス・ゴーン容疑者ら代表取締役2人を逮捕しました。
カルロス・ゴーンが逮捕される
毎日新聞他、メディア各局が以下のようなニュースを報じ、話題となっています。
自分の役員報酬を実際より約50億円少なく有価証券報告書に記載したとして、日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)ら2人が金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕された事件で、東京地検特捜部が「司法取引」(政府略称・合意制度)を適用していたことが関係者への取材で明らかになった。今年6月に始まった同制度が使われたのは2例目とみられる。
ゴーン会長は19日、同社代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)と共に逮捕された。逮捕容疑は、2人は共謀し2010年度から14年度の5年分の有価証券報告書に、ゴーン会長の実際の報酬が計約99億9800万円だったにもかかわらず、計約49億8700万円と偽って記載し、関東財務局に提出したとしている。
司法取引は、捜査に協力して他人の犯罪を明らかにする代わりに自身の刑事処分などを軽くする制度。関係者によると、今回、日産自動車の関係者が捜査に協力することで、特捜部と合意に至ったとみられる。この関係者は、有価証券報告書の虚偽記載に何らかの形で関わっていた可能性が高い。
19日夜に記者会見した西川広人社長は、逮捕容疑以外に「私的目的での資金流用」と「経費の不正使用」も把握し、特捜部の捜査に協力していると説明。特捜部はゴーン会長の報酬の過少記載だけでなく、会社資金の私的流用などについても全容解明を進めるとみられる。
日産は22日、ゴーン会長とケリー代表取締役の解任を取締役会に提案する。三菱自動車もゴーン会長が兼務している同社会長職の解任を取締役会に提案するとともに同様の不正がないか社内調査も行う。
出典:毎日新聞
カルロス・ゴーンについて
こちらが、カルロス・ゴーン会長のプロフィールです。
出典:ベストカー
名前:カルロス・ゴーン
英語名:Carlos Ghosn
生年月日: 1954年3月9日
年齢:64歳(※2018年11月現在)
国籍:ブラジル・フランス・レバノン
人種:レバノン人
学歴:パリ国立高等鉱業学校
職業:実業家
所属:日産自動車 三菱自動車工業
カルロス・ゴーン会長は、日産自動車と三菱自動車工業の会長を務める人物で、両親はレバノン人でありながら、ブラジルで誕生したことでも知られています。
幼少期はブラジルで過ごしていたそうですが、その後は父の母国であるレバノンのベイルートで中等教育を受けており。、フランスの工学系グランゼコールの一つとして有名なパリ国立高等鉱業学校を卒業したすると、フランスの大手タイヤメーカーであるミシュランに入社し、その後は18年もの間同会社で働いたという経歴を持っています。
ミシュランではフランス国内で工場長を務めたり、産業用タイヤ部門の研究開発ヘッドを歴任するなどその実力派華々しいものがあり、 それを歴任した後の1985年には、30歳で3億ドルの市場を持つとされている、南米ミシュランの最高執行責任者に任命されるなど、エリート街道をひた走っております。
1996年に、ルノーの上席副社長にヘッドハンティングされたカルロス・ゴーン会長は、再びフランスへと移住したのですが、1999年にルノーと日産が資本提携をした兼ね合いもあって、ルノーでの役職も維持しつつ、日産自動車の最高執行責任者就任するという異色の経歴を持っています。
カルロス・ゴーン会長はマルチリンガル(他言語話者)として知られており、レバノンの母国語であるアラビア語やフランス語に加えて英語とスペイン語、そしてブラジルの母国語であるポルトガル語の5言語を流暢に扱うことが可能です。
また、日産自動車の会長に就任してからは、日本語も勉強しているのだそうで、日産自動車社内で自らの肉声で語るという場面では、あえて日本語での演説を心がけているといいます。
ブラジルとフランスの両国の市民権を所持している他、また少年期のおよそ10年間住んでおり、初等ー中等教育を修了したレバノンにも深い関わりがあるとされています。
経営陣のトップとして活動しているため、運転手などが付いていると思われがちですが、自らハンドルを握って運転する事も大好きなのだそうで、その際には日産自動車以外の車にも乗車することがあると言われています。
司法取引をした部下は誰なのか?
では、カルロス・ゴーン会長に指示され司法取引をしたとされる部下は一体誰なのでしょうか?
今回の事件の場合には、カルロス・ゴーン会長は有価証券報告書に記載した自身の報酬額を、操作した人物が必ずいるということになるのですが、関係者の話によれば、カルロス・ゴーン会長に対する捜査をめぐって、捜査に協力する見返りに刑事処分を軽減する司法取引制度が適用されていたそうです。
有価証券報告書に、カルロス・ゴーン会長の実際の報酬が計およそ99億9800万円であるにも関わらず、およそ49億8700万円と偽って記載したことで罪に問われているのですが、この実際に数字を操作したとされるのは日産自動車の社員であり、この人物が司法取引に応じたということになるのです。
いわゆる内部告発のようなものなのですが、現在のところは名前や顔画像などの情報は公開されておらず、また、特定するにも至っておりませんので、こちらに関しては詳しい情報が入り次第、随時お伝えしていこうと思います。
有価証券報告書って何?
では、ここで取り沙汰されている有価証券報告書とは一体どのようなものなのでしょうか?
有価証券報告書とは、上場会社など有価証券発行者である会社が、事業年度終了後3カ月以内に企業の概況、事業内容、設備状況、営業状況、財務諸表などの重要事項を記載して内閣総理大臣に提出する書類のことです。
そして、提出された有価証券報告書は公開され、金融庁ウェブサイトからEDINETにアクセスすれば誰でも閲覧することができます。
企業のお金の流れを知ることができる、貸借対照表や、損益計算書、キャッシュフロー計算書、営業報告書、利益処分計算書、附属明細書などの財務諸表に加え、役員報酬がいくら支払われているのかなども確認することが可能です。
なぜこの有価証券報告書の公開が必要なのかといえば、企業には多くの利害関係者(ステークホルダー)が存在しているのですが、その企業で働く従業員が受け取るお給料やボーナスなどは、その企業の活動状況に大きな影響を及ぼしてくるからです。
以下のようにそれぞれが、それぞれの目的を持って確認することが求められるのが有価証券報告書であります。
経営者・・・経営状態のチェック
金融関係者・・・融資関連の確認
投資家・株主・・・投資の判断材料などの確認
従業員・・・経営状態や会社将来についての確認
国・自治体・・・適正な税金徴収のため
取引先・・・債権回収が可能かどうかの確認
司法取引制度とは?
では、ここで取り沙汰されている司法取引制度とはどのようなものなのでしょうか?
司法取引とは海外ドラマや映画などでよく耳にする言葉で、日本ではあまり馴染みがないように感じられますが、日本型司法取引制度は2018年6月に施行されたばかりの比較的新しい制度なのです。
取引という言葉がついていますので、何かを与える代わりに見返りを求めるということを意味しますが、その見返りが司法のやりとりになるのが司法取引です。
司法取引とは、特定の財政経済・薬物銃器犯罪などの組織犯罪において、被疑者や被告人が裁判の中で共犯者の供述をすることや、その犯罪の証拠提出などをするという協力を要請するのと引き換えに、検察官から不起訴を言い渡されたり、刑事責任の減免・厳罰を保証してもらうという制度のことを指しています。
組織犯罪の場合、実行犯として活動している従業員が、企業の役員もしくは幹部クラスの職員が関与していると明白である証拠を獲得するというのは、極めて大きな意味を持つのですが、それに何の見返りもなく共犯者の捜査や公判への協力を要請することは極めて困難なのです。
そうしたことを改めるという意味で、捜査強力の代わりに見返りを与えたのがこの司法取引の制度なのです。
前述した通り、この司法制度は2018年6月から制定されているのですが、日本では今回の日産自動車の件が2例目であるそうです。
今年6月1日施行の改正刑事訴訟法に盛り込まれた新制度。容疑者や被告などが他人の犯罪を明らかにするのと引き換えに、検察官が起訴を見送ったり、求刑を軽くしたりできる。刑法の贈収賄や詐欺、脱税事件や談合事件など対象となる犯罪は限定され、金融商品取引法違反事件も対象。東京地検特捜部は今年7月、大手発電機器メーカー「三菱日立パワーシステムズ」を巡る外国公務員贈賄事件で初適用し、捜査に協力した法人としての同社の起訴を見送る代わりに、同社の元役員ら3人を在宅起訴した
出典:毎日新聞
なぜ過少申告をしたのか?
これほどまでに、大きな企業の会長を務めているカルロス・ゴーン会長ですが、一体なぜこのような過少申告を指示したのでしょうか?
日本の法律では所得、すなわちお給料をもらうということに対して税金がかけられるのです。
カルロス・ゴーン会長は会社の経営陣のトップでありますから、法人税法上の役員にあたる人に対して会社から支払われる報酬の役員報酬という形で、給料をもらっているのですが、所得税法では役員報酬も給与もどちらも「給与所得」となりますので、同じ扱いをすることになります。
そして、その税金の率ですが、一定という訳ではなく、所得が多い人ほど多く支払うというシステムになっており、その税率は累進課税と言われ以下のようになっています。
カルロス・ゴーン会長は年収4,000万年をゆうに超えていますから、全体の年収の45%を国に所得税として納めなければなりません。
過少申告しない99億円だった場合、支払う税金は44億円にも登りますが、過少申告した際の49億円であった場合には、支払う金額は22億円となり、実際手元に残る金額に大幅なズレが生じることになるのです。
【実際の場合】
99億円ー22億円=77億円
つまり、過少申告をした際には77億円が手元に残ることになり、実際では55億円のところ22億円以上も不正に手にしていたのだとされているのです。
実際は不正に手にしていたというよりは、支払う額を少なく見せているために、手元から減っていないという方が正しいのです。
すなわち、こうした税金を支払うことを少なくしていと思った結果、カルロス・ゴーン会長は過少申告を指示したのでしょう。
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