出典:Fnn
女優の樹木希林さんが亡くなっていたことが明らかとなりました。
今回は、樹木希林さんの死因などについて迫ってみたいと思います。
樹木希林さんが死去していた
産経ニュースほか、メディア各局が以下のようなニュースを報じ、話題となっています。
個性派女優として活躍した樹木希林(きき・きりん、本名・内田啓子=うちだ・けいこ)さんが死去したことが16日、分かった。75歳だった。
出典:産経ニュース
樹木希林について
こちらが、亡くなった樹木希林さんのプロフィールです。
名前:樹木希林(きき きりん)
本名:内田 啓子(うちだけいこ)旧姓:中谷
別名義:悠木千帆
生年月日:1943年1月15日
年齢:75歳(※享年)
出身:東京府東京市(現在の千代田区)
血液型:A型
職業:女優
家族:内田裕也(配偶者)
内田也哉子(娘)
本木雅弘(娘婿)
内田伽羅(孫)
樹木希林さんは、内田裕也さんの奥さんであり、日本を代表する女優さんとしても知られています。
1961年に文学座付属演劇研究所に入り、悠木千帆という名義で女優活動をスタートさせたことがきっかけであり、1964年に森繁久彌さんが主演したテレビドラマ「七人の孫」にレギュラー出演し、一躍人気を獲得しました。
その後は数多くのテレビドラマや映画、CMなどに出演し、その個性的な演技とキャラクターで、日本の女優界には欠かせない存在となっていきます。
2003年1月には、網膜剥離で左目を失明したことを明かしており、話題となっていたほか、2008年には紫綬褒章受賞するなど、日本の芸術の発展に大きく寄与したことでも知られています。
日本を代表する女優の一人でありながら、マネジャーなしでスケジュールも出演料も、すべて自分で管理し、決めていたのだといい、多忙ながらも凄まじいマネジメント能力を発揮することも有名です。
2013年3月8日の第36回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞しているのですが、この際に後述しますが「全身がん」である事を告白し、話題ともなりました。
旦那さんである内田裕也さんとの間に誕生した内田也哉子さんは元シブガキ隊の本木雅弘さんと結婚するなど、芸能一家であることでも知られています。
私生活においては、1964年に俳優の岸田森さんと結婚をしておりますが、わずか4年で離婚。
そして、1973年10月に現在の旦那さんである内田裕也さんと再婚をしますが、、こちらはわずか1年半で別居状態に陥り、その後別居生活を続けていたそうです。
死因について
では、死因は一体何だったのでしょうか?
報道機関の発表によれば「全身がん」の告白をしていたために、それが原因なのではないかと考えられています。
樹木希林さんは2004年乳がんから始まり、2008年には腸、副腎、脊髄に転移するなどし、最悪なことに2013年には全身癌と宣告されているのです。
ですが、THE PAGEによれば、全身ガンというがんは存在しないのだと言います。
結論から言うと「全身がん」という「がん」は存在しません。がんは、ある臓器で発生した後、それを摘出したり、その活動を抑制することができなかった場合、リンパ管などを通じて他の臓器に転移するという特性があります。最初に出現したがんを原発巣、転移したがんのことを転移巣と呼びます。不幸にして、体のあちこちにがんが転移してしまった状態のことを樹木さんは「全身がん」と表現したようです。
出典:THE PAGE
つまり、全身がんというのは、心不全のようなもので、心臓が止まる事を全て心不全と呼ぶように、全身に転移した状態のことを全身がんというのだそうです。
ですが、直接的な原因は明らかとなっていないものの、おそらくこの”全身がん”が原因で、体をがん細胞が蝕み、還らぬ人となってしまったのだと思います。
また、2003年には左目を網膜剥離で失明しており、さらには2018年8月13日に大腿骨を骨折しており、もはや満身創痍となっていたのですが、2018年6月8日公開の映画「万引き家族」に出演するなど、精力的に活動を展開していたのです。
がんに対する思い
樹木希林さんは以前にもテレビ番組で、がんを告白した際には「死を覚悟している」と発言をするなど、かなりの重篤な病気であったことは間違い無いのですが、それでも最初にがんを公表した2004年からおよそ14年間にも渡って仕事を積極的に行ってきた所にプロ魂を感じます。
また、このがんに対して樹木希林さんは「私の場合、体に広がる全身がん。でもがんに感謝。経験してなければろくに『死』にも向き合わず、内田(裕也)さんのこともちゃんと理解しようと思わなかった」とコメントするなど、がんととことん向き合っていく姿勢を貫いています。
このことがきっかけとなった樹木希林さんは独学でがんを勉強していったとされており、その際には以下のようなコメントを残しているのです。
がんが見つかってもおっかなびっくりしない。出ればつぶせばいい。がんには必ず要因がある。生活習慣も見つめ直す。簡単に治らないからこそ、自分に客観的になれ、生き方がつましくなった
出典:スポーツ報知
一般的にがんを宣告されたら悲壮感に苛まれたり、ネガティブになってしまうことがあるかと思われますが、それでもこのがんに対してポジティブに捉えた結果、ここまで14年もの生き続けることが出来たのだと思います。
やはり、「病は気から」という言葉があるとおり、人間の体は科学では証明できないことがたくさんで、こうしたポジティブシンキングが体にいい影響を与えることもあるのだと言います。
余命〇〇年などと医者から宣告された際に、ストレスが溜まらないように自分の好きなことだけやっていたら10年も生きられたなどというエピソードもあるくらいです。
こうしたがんとのポジティブな向き合い方ができるのも、樹木希林さんならではなのではないでしょうか?
死ぬときぐらい好きにさせてよ
そんな、樹木希林さんですが2016年には宝島社「死ぬときぐらい好きにさせてよ」という死をテーマにした衝撃的な広告に出演して話題となっていました。
出典:withnews
この広告を撮影した際に、樹木希林さんは「生きるのも日常、死んでいくのも日常」と独特の言い回しで、死を表現しており、「死というのは悪いことではない。それは当たり前にやってくるもので、自分が生きたいように死んでいきたい。最後は、もろとも宇宙の塵になりて。そんな気持ちでいるんです」と死についてコメントを残しています。
なんとも大胆な終活宣言をしているのですが、以外にもこの広告に対する世間の評価は高く、「安楽死や尊厳死の問題が取りざたされる中、すごく共感した」などの声が挙がっていると言います。
宝島社はインパクトのある企業広告を制作していることで知られており、毎度メッセージ性の強い広告を製作しては、物議を醸したり、話題となるなど、大きな反響があることでも知られています。
人は必ず死ぬというのに。
長生きを叶える技術ばかりが進歩して
なんとまあ死ににくい時代になったことでしょう。
死を疎むことなく、死を焦ることもなく。
ひとつひとつの欲を手放して、
身じまいをしていきたいと思うのです。
人は死ねば宇宙の塵芥。せめて美しく輝く塵になりたい。
それが、私の最後の欲なのです。
こうした言葉は非常に美しく、また、終活などを考えさせられると思いますし、これは宝島社から言わせれば「個人の死生感」に委ねられているということのようです。
諸行無常
人間というのは、誰しもが年老いていきますし、誰しもは死に直面しますし、ずっと一緒の状態ということはありえず、常に世界の万物は移りゆくものであるのです。
仏教では、そもそも生きていることが苦しいものであるとしているので、生まれてくることが苦であり、人は生まれてから老いていくことも苦であると考え、病気や死ぬことをも苦であると考えられています。
この「生・老・病・死」を合わせて四苦と呼び、愛する人と離れなければならない苦しみの「愛別離苦(あいべつりく)」、憎たらしい人や嫌いな人と合わなければならない「怨憎会苦(おんぞうえく)」、欲しいものが手に入らない苦しみの「求不得苦(ぐふとっく)」そして、肉体が存在するがゆえに起こりうる様々な苦しみの「五陰盛苦(ごおんじょうく)」とを合わせて、四苦八苦と呼ばれているのです。
そして、仏教では三法印と呼ばれる教えもあり、「諸行無常」「諸法無我」「涅槃寂静」の3つがこれに該当します。
中でも、諸行無常というのは、ものごとは、次々に変化し、元のままにあるものは1つもないということを指しています。
そして、この諸行無常という真理が理解できない間は、健康や財産、名誉など、ありとあらゆることが変わらない(全ていつもの状態)と思い込み、失うことを恐れるのです。
人は必ず歳をとり、老いて死を迎えるのですが、その真理に抗おうと必死に長寿の秘訣を探ったり、科学技術を進歩させて少しでも長生きしようとしているのです。
ですが、これは諸行無常という観点からみれば、真理に反しており、”死”に対してネガティブなイメージばかりを植えつけてしまうのです。
世界のあらゆる現象や物体は全て変化するというこの諸行無常という真理を理解すれば、苦しみに遭っても動じることはありませんし、死を迎えても悲しむことはありません。
平家物語の冒頭部分でも、以下のように記されています。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。 猛き者も遂にはほろびぬ、 偏 ひとへ に風の前の塵におなじ
出典:平家物語
平家物語はおよそ1000年ほど前にも、圧倒的な力を持っていたとされる平家ですら源氏に破れてしまうということをこの冒頭部分だけで表すという素晴らしい文学作品なのですが、ここでも盛者必衰という言葉で諸行無常を表しているのです。
必ず死が訪れたり、老いたり、滅びたりするというこの真理をもしかしたら樹木希林さんは悟っていたのかもしれません。
いずれにしても、亡くなった樹木希林さんには心よりご冥福をお祈り申し上げます。
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