出典:Twitter
ネット社会に生きる日本では、誤った投稿をすると「炎上」という大勢からの批判にあう事が多々ありますが、またしても「炎上」が起こりました。
金魚をトイレに流す動画が炎上!!
現在Twitterにて生きた金魚をトイレに流す動画に批判が殺到しています。
こちらがその投稿です。
金魚すくいですくってきた金魚トイレで飼ってあげようと思ったけど自然に帰してあげることにした。
下水道通る時はちょっと臭いかもしれないけど強く生きるんだよ。 pic.twitter.com/FV3atxsIXT— りにゃボコ (@Rs2chan) 2018年7月26日
金魚を流しているという動画ですが、この動画が動物や命を粗末にしているのではないかとして、炎上しているのです。
金魚をトイレに流すのはNG?
こん問題を語る上で、まずはトイレの構造を理解しなければなりません。
使用前のタンクには水が所定量たまっています。
※ウォーターラインという目印から2~3cm下レバーハンドルをまわすとレバーとつながったフロートバルブが持ち上がり、タンクの水が便器 に流れていきます。
タンクの水が流れ終わるとフロートバルブは自重で閉まります。
タンクの水が少なくなると同時にボールタップの浮玉も下がり、ボールタップのバルブから給水が始まり、水位の上昇と同時にボールタップの浮玉も上がり、バルブが閉まることで給水が止まります。
出典:TOTO
日本の大手便器メーカーであるTOTOの解説によれば、以下のような構造でトイレから水が流れるそうなのです。
流す際には、ものすごい勢いがありますので、この勢いによって金魚が窒息死する恐れがあります。
「自然に返してあげたい」との思惑でこの投稿者さんは、金魚を流しているのですが、自然に返る前にこの小さな体では水圧や勢いに耐えられない可能性があるのです。
下水処理の仕組み
出典:下水道
トイレの流した水というのは、もれなく下水処理施設に送られるのですが、どのような仕組みで下水処理されるのでしょうか?
・下水管
家庭や工場などで発生した汚水もしくは、道路になどに溜まった雨水などは、下水管に流入していきます。
下水管は、 都市の地下に網目状に巡らされており、雨水は河川に、下水は下水処理施設へと運ぶ役割を担っています。
・ポンプ場
汚水は、下水処理場に入る前にポンプ場と呼ばれる施設に送られるのですが、これは勾配を設けて下水処理場からポンプ場が地面からあまり深くならないようにするためにあり、所々にポンプ場を設けて浅いところに汲み上げる役割を担っているのです。
・下水処理場
その後運ばれてきた汚水は下水処理場へと移動しますが、バクテリアなどの微生物が下水の汚れを浄化し、 下水を綺麗に処理していきます。
ここで綺麗になった汚水(下水)は、 河川や海などに放流された後に自然の水循環に戻されます。
・沈砂池(ちんさち)
続いて、下水処理場に運ばれた下水は、まず、沈砂池と呼ばれる池に入るのですが、 下水中の比較的大きなごみや砂は、ここで取り除かれていきます。
大きなものから徐々に取り除いていき、綺麗にしていくという仕組みです。
・最初沈殿池
沈砂池でごみなどが取り除かれた下水は、最初沈殿池へと流れていき、ここでゆっくりと流れていく間に、 沈砂池では取り除かれなかった小さなごみなどを沈ませて処理します。
・反応タンク
そして、最初沈殿池を通過した下水は、反応タンクへと入っていきます。
反応タンクでは、活性汚泥(バクテリアや原生動物のような微生物の集まり) を下水に混ぜて、空気を吹き込んでいきます。
活性汚泥は、 空気を栄養として活動していきますので、どんどん増殖することによって水が綺麗になっていくのです。
・最終沈殿池
反応タンクで増殖した活性汚泥の処理が問題となるのですが、この最終沈殿池で沈むため、取り除かれていき、下水はさらに綺麗になるのです。
・高度処理
ほぼ90パーセント近く切れとなった水を守るため、水の汚れとなる窒素やリン、有機化合物などをさらに取り除く処理をここで行う場合があります。
・消毒施設
そして最後に、最終沈殿池の上澄みの方の水を消毒するのですが、 ここで消毒し綺麗になって初めて下水処理水として河川や海に放流されるのです
・汚泥処理施設
最初沈殿池や最終沈殿池で発生した汚泥は、汚泥処理施設へ送られ、有効利用がなされるなど、無駄なく処理が行われています。
自然に返すのは不可能?
最初にこの動画を投稿したりにゃボコさんによれば、トイレは池に直結しているそうですが、前述で長々とご説明した通り、下水処理が池に直結しているようなことはまずありえません。
— たくみ (@Gokukame_Foo) 2018年7月26日
現代の下水処理では高度な処理を施していますし、消毒などをしていますので、まずどの工程に入っても金魚の命はありません。
池に直接いく下水というのは、雨水などがそれにあたり、それを行うには分流菅と呼ばれる下水管を利用している自治体や地域などでしかありえません。
汚水と雨水を別々の下水管で運ぶ方法を分流式と言い、 汚水と雨水を同じ下水管で下水処理場まで運ぶ方式を合流式と呼ぶのですが、それであっても基本的に家庭の汚水というのは必ず下水処理施設に送られますので、この池に直結しているという認識は間違っていると言っても過言ではありません。
いずれにしても、命を大切にすることを知らないようなユーザーさんでありますので、もちろん炎上することは不可避なのではないかと考えられます。
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