出典:ANN
日清食品ホールディングス(2897)の子会社の日清シスコは3日、シリアル商品の一部を自主回収すると発表し、話題となっています。
日清シスコ、シリアル商品を自主回収
NHK NEWS WEB他、メディア各局が以下のようなニュースを報じ、話題となっています。
「伊藤忠商事」は輸入した大麦の一部から、基準を超える殺菌剤が検出されたことを明らかにしました。
またこの大麦を原料にしたシリアルを販売していた日清食品グループの「日清シスコ」は、商品の一部から基準を超える殺菌剤が検出されたとして、あわせて31万5000個を回収すると発表しました。伊藤忠商事によりますと、去年8月にオーストラリアから輸入したおよそ85トンの大麦の一部から、殺菌剤の「アゾキシストロビン」が法律で定められた基準の5倍の値で検出されたということです。
このうち、およそ40トンは食品メーカーに販売されシリアルなどに使われたとしています。
この大麦を原料にシリアルを販売していた日清食品グループの「日清シスコ」は、商品の一部から基準を超える殺菌剤が検出されたとして、あわせて31万5000個を回収すると発表しました。
回収の対象は「1日分のスーパー大麦グラノーラ」の2種類の商品で、「4種の彩り果実」は賞味期限が2018年7月13日から10月14日までの商品。
「3種のまるごと大豆」は賞味期限が2018年8月24日から10月15日までの商品です。
会社側は対象の商品を食べても健康に悪影響を与えるおそれはないとしていますが、購入した人は食べないように呼びかけています。
また、問い合わせは、お客様相談室の0120−825−066で、対象の商品は着払いで郵送すれば後日、代金相当の金券を返却するということです。
一方、この問題で、農林水産省は、伊藤忠が法律に違反した食品を輸入したとして、コメと麦の輸入業務で指名停止処分にすることにしています。
出典:NHK NEWS WEB
日清シスコについて
こちらが、日清シスコの会社の概要です。
商号 | 日清シスコ株式会社 (NISSIN CISCO CO., LTD.) |
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創業 | 1924年1月10日 |
設立年月 | 1948年8月23日 |
資本金 | 26億円 |
代表者 | 代表取締役社長 豊留 昭浩 |
事業内容 | 各種シリアルフーズ、スナック類・ビスケット・クッキー類、チョコレート製品類など食品・菓子の製造販売 |
本社 |
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日清シスコ株式会社は、大阪府堺市堺区に本社を置く企業であり、日清食品ホールディングスの連結子会社として知られている会社です。
シスコというだけあって「シスコーン」と呼ばれる主力商品を中心にシリアル食品、ビスケット、チョコレート菓子などを主に展開しています。
1991年1月21日に、日清食品が株式の60%を取得して資本参加を表明し、日清食品グループの傘下となったことで、シスコから日清シスコに社名を変更しています。
回収の理由は?
では、回収の理由は一体何だったのでしょうか?
そもそもこの問題の発端となったのは、農林水産省が3日、伊藤忠商事が去年に輸入したオーストラリア産の大麦から、食品衛生法の基準値をはるかに超える農薬である「アゾキシストロビン」が検出されたと発表したことによるものです。
そのため、日清シスコが製造・販売するシリアル「1日分のスーパー大麦グラノーラ」シリーズにこの大麦が使用されているために、自主回収をすることとなったのです。
食べても人体に影響がないそうですが、オーストラリアが定める農薬の基準値と、日本の食品衛生法が定める基準値とが異なるために、このような事態が発生してしまったのだと思われます。
おそらく管理体制に問題はなかったものと思われますが、こうした自主回収をすることによって、リスクヘッジをし、事故を未然に防ぐという意味でも、企業の社会的責任を果たしているのだと思われます。
アゾキシストロビンとは?
では、伊藤忠商事が輸入した大麦に含まれていたアゾキシストロビンとは一体どのような農薬なのでしょうか?
アゾキシストロビンとは、病原菌細胞の呼吸を阻害する作用がある農薬のことで、殺菌剤として広く使用されているものであり、色々の個体であるとのことです。
アメリカなどで主に使用されているのだそうですが、厚生労働省は、この農薬をなんと「食品添加物」として認めており、レモンやオレンジなど輸入した柑橘系の皮などに農薬が残留することが多いのだそうです。
海外では、収穫後に果物や穀物、野菜などに散布するポストハーベスト呼ばれる行為を行い、これには有害な化学物質が使われているそうです。
アゾキシストロビンは、オーストラリア及び日本を含むおよそ50ヵ国で、穀物、果実、野菜等の殺菌剤として農薬登録されていますし、日本では、柑橘類の食品添加物として 収穫後の使用も認められているのだそうです。
毒性実験では、発がん性、遺伝毒性や急性毒性は認められていないとのことですので、摂取したからといって直ちに人体に影響を及ぼすことはないと言われています。
伊藤忠商事は防げなかったのか?
この問題は、伊藤忠商事が輸入したことによって発覚したのですが、未然に防ぐことは出来なかったのでしょうか?
伊藤忠商事はこの件に関して「多大なるご心配とご迷惑をおかけし深くお詫び申し上げる」とのコメントを残していますが、原因ついては究明を急ぐとともに、国の制度に基づくムギとコメの輸入業務について指名停止処分を行うとしています。
伊藤忠商事は、言わずと知れた日本屈指の巨大総合商社でありますし、2015年度には最終利益で三菱商事を抜いて総合商社業界でトップとなった経歴を持っている素晴らしい企業であります。
そんな伊藤忠商事ですら、残留農薬の基準値を超えた大麦の輸入を止めることは出来なかったのですから、これは第一線で大麦を生産している生産者のモラルに関わるものではないかとも推測されます。
伊藤忠商事は、資源開発・原料調達から、製造・加工、卸売、小売サービスまでも一手に行う大企業でありますが、こうしたトラブルによって、日清シスコやその末端である消費者に多大なる迷惑がかかってしまったことを肝に命じなければならないでしょう。
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