就職活動は自分の人生を決める上で、非常に重要なターニングポイントとなります。
しかし現代の就職活動が、従来のものと比べ、大きく変化しているそうです。
いったい、どのような変化なのでしょうか?
エントリーシートを親が代筆
日本経済新聞の夕刊に、以下のような記事が掲載されていましたので、ご紹介します。
こちらの記事は、株式会社ハナマルキャリア総合研究所の代表取締役で、日本初のキャリアコンサルタントとして、各方面で活躍する上田晶美(うえだあけみ)さんの連載記事です。
この記事によれば、就職活動の際に企業側に提出する、ES(エントリーシート)を、学生の親が代筆して作成するケースが多発しているそうです。
エントリーシート、親が代筆 面接に臨むのは本人だけ
「最近はお父さんが子どもの就活のエントリーシートを書くのが普通なんですか?」。
首都圏の大学の職員にこう聞かれた。
私と同年代の管理職の女性である。
彼女がある会合に出たときのこと。
男性陣が何人も異口同音に「うちも書いたよ」と大学生のわが子のエントリーシートを書いたと告白したそうなのだ。
「普通」というのはちょっと言い過ぎだが、なくもないなと思う。
今年私のところに相談にきた学生が「A社のエントリーシートは父が考えてくれて提出しました」と言っていた。
今までもお母さんから相談を受けるというのはよくあったが、お父さんがエントリーシートの内容を考えてくれたというのは、初めて聞いた。
「親子就活はここまで来たか!」との感がある。
母子だけでなく父子もここまで仲良しになっているのだ。
これからは文章の内容はお父さんが考えて、字が上手なお母さんが代筆するということもあるかもしれない。
それではいったい、誰のエントリーシートかわからなくなるではないか。
ここでエントリーシートの代筆には落とし穴があることを警告しておこう。
エントリーシートは出して合格できれば終わり、ではないということだ。
首尾よく通過したエントリーシートは、面接に行くと担当者の机の上に載っており、それを基に面接が行われることをお忘れなく。
面接ではエントリーシートに書いてあることについて深堀りした質問をされる。
それに答えるのは本人ひとりだ。
たとえば「学生時代、力を入れたこと」を書いて提出したとする。
面接では「なぜそれをやろうと思ったのですか?」とか「その経験の中で最も困難だったことは何ですか?」といった質問を受けることになる。
自分で書いたことがあれば、答えることは可能だが、親が書いたことに関しては、相当準備しないと答えられないだろう。
受ける会社は1社ではなく何十社となっていく。
いちいち想定内の問題集を親子で一緒に考えられるのか。
相当な時間と労力がかかりそうだ。
子どものエントリーシート作成を手伝うと、面接にも影響するということを覚悟してほしい。
また、エントリーシートや履歴書を書くことは、文章をまとめる過程で、自分を見つめたり、職業観を深めたりといった自己分析の意味もある。
エントリーシートの親の手伝いは、相談に乗る程度にとどめたいものだ。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)
出典:日経新聞
親が代筆したESで面接に臨む。
いったい誰のための就活なのでしょうか?
これには、様々な意見が寄せられていますので、その一部をご紹介します。
●20歳過ぎたら、親には責任ありません。自己責任だから
●自力でやった方がいい経験になるのに親が潰してる
●過保護な親って、自分が子どもより長生きするつもりなの?って聞きたくなる。
●やっぱり新卒は社会を見る目とか、何が良い会社かっていう判断力が低いから、いくら子供の意思が大切とはいえ、子供と親で話し合える関係は大切だと思う。
など、否定的な意見が多数を占めました。
変わりゆく就活の現状
就職活動に親御さんが介入するいわゆる『親子就活』が、近年数多く取り沙汰されています。
企業説明会に同席したり、内定がもらえなかった企業に親御さんが直接問い合わせたり。
自分の子どもよりも、熱心に就活を手伝うケースが増えてきているようです。
「あの企業はダメだ!」「この企業に未来はない!」など、自分の子どもが面接を受ける会社をダメ出しをする場合もあります。
しかし、その企業がダメになるかどうかは、その会社の社員でも見通しがつきませんし、なぜこの会社で働くのかということを自分で真剣に考え、行動するようにしなければ、絶対に将来のためになりません。
しかしながら、20数年しか生きていない若者に、社会を見る目というものが完璧に備わっているとは思えませんので、就活や社会に対して不安があった場合は、あくまで、サポートするくらいのスタンスの方がいいのかもしれません。
自分の子の就活にしゃしゃり出る『親子就活』。これがエスカレートすれば、本人不在の面接なるものが行われてもおかしくありません。
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